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      1、配管内を流れる空気・水の放熱・加熱

1-1、

 


外気温度10℃、長さ10m、内径10mm、肉厚2mmの鉄配管がヒーターにより60℃に保たれているとき外部へ失われる熱量はいくらか?

ソフトを立ち上げ、円筒の放熱 をクリックし入力画面を出す。長さ10m、外気温度10℃、構造材欄に内側温度60℃、熱伝導率53W/m℃、厚さ2mm、外径14mm(10+2+2)、を入れ、保温材厚さ0mmを入れ、実行をクリックする。→結果: 対流放熱量 154W、 放射放熱量73W、合計227Wの熱量を外部へ放出する。

1-2、

 

 

外気温度10℃のとき、内径16mm、肉厚3mmの耐熱塩ビ配管内に40℃の湯が流速0.5m^3/hで流入したとき15m配管出口の水温は?

ソフトを立ち上げ、円筒の放熱→切り替えをクリックし入力画面を出す。外気温度10℃、内側温度(内部流体温度)40℃、塩ビの熱伝導率0.18W/m℃、厚さ3mm、長さ15m、保温材厚さ0mm、水の密度1g/cm3、比熱1kcal/kg℃、管径0.016m、流量0.5m^3/h(0.695m/s)を入れ、対流熱伝達率内側3100W/m^2℃を入れ、実行をクリックする。→結果: Xm点温度℃欄に39.56℃と出口温度が表示されます。
この流量では湯はほとんど冷えません。対流熱伝達率内側を知るには、熱伝達率計算ボタンをクリックし、熱伝達率の式欄に、資料-強制対流熱伝達率の109をいれ選択し、資料-空気・水の熱的特性から水40℃の物性値を記入し、計算実行する。

1-3、

 

 

 

流れを止めた後の水温低下

1-2のつづきで、流れが止まった後、水温はどう低下していくか計算してみます。
1-2の画面で、流速は0.695m/sだから1分後は41.7m、5分後は208.5m、10分後は417mの位置になります。これを長さ欄に入れると1分後、5分後、10分後の温度が得られます。対流熱伝達率は300W/m^2℃にします。1分後38.8℃、5分後34.6℃、10分後30.2℃となります。少し風があたるところに配管があったりすると対流熱伝達率が大きくなり、水温は下がります。ここでは内側の水層側の対流熱伝達率は流れがないので300W/m^2℃としましたが、自然対流水の対流熱伝達率230〜580W/m^2℃の範囲で数値はほとんど変わりません。。

1-4、

 

 

外気温度10℃、長さ15m、内径16mm、肉厚3mmの耐熱塩ビ配管内に40℃の湯が流速0.5m^3/hで流れているとき外部へ失われる熱量はいくらか? (両側に流体境膜がある場合)

ソフトを立ち上げ、円筒の放熱 →切り替えをクリックし入力画面を出す。長さ15m、外気温度10℃、構造材欄に内側温度40℃、塩ビの熱伝導率0.18W/m℃、厚さ3mm、管径0.016m、流速0.5m^3/h、内側の対流熱伝達率3100w/m^2℃を入れ、保温材厚さ0mmを入れ、実行をクリックする。→結果: 対流放熱量 180W、 放射放熱量75W、合計255Wの熱量を外部へ放出する。
これに厚さ10mm、熱伝導率0.06W/m℃の保温材で保温すると対流放熱量 116W、 放射放熱量45W、合計161Wの損失で済む。(保温材欄に厚さ10mm、熱伝導率0.06W/m℃を記入し、実行をクリック。

1-5、

 

N2ガスを室温から60℃に暖めて使いたい。使用量は間歇的に0.05m3/h、圧力は4.5MPa、流入温度は室温20℃、配管長さは10mのときガス温度は何度まで上がるか。

ガスが間歇でなく連続して0.05m3/h流れるとしたとき、上記の画面で4.5MPaにおける比重0.0563g/cm3、比熱0.24kcal/kg℃を入れる。内側温度を20℃、外気温度を60℃、内径8mm、管肉厚2mm、配管長さ10m、配管熱伝導率53W/m℃、保温材厚さ0mmとおく。さらに、配管にヒーター線を巻きつけて鉄管を直接加熱し60℃に制御するとして、外側流体境膜のない条件、対流熱伝達率外側10000W/m^2℃とおく。(流体温度と壁面温度を同じにするため) 対流熱伝達率内側はガス圧力が高く密度が大きいので10W/m^2℃よりは大きいと思うが一応10W/m^2℃としておく。この条件で実行をクリックすると60℃を得る。現行配管にヒーター線を巻くだけで問題ないようだ。ただし、ヒーター線巻きつけによる温度ばらつきは別途検討する必要がある。

1-6、

80℃高温ガス(空気)の通る直径100mmの配管の断熱材の厚さをいくつにしたらよいか?

ソフトを立ち上げ、円筒の放熱−切り替えをクリックし 入力画面を出す。内側温度80℃、構造材の熱伝導率鉄なら53W/m℃、肉厚2mm、外径、断熱材の厚さ、熱伝導率0.06W/m℃、外気温度20℃を入力し、実行をクリックする。断熱材表面が40℃位に下がればよいので、ガス流量により対流熱伝達率内側が異なる(15W/m^2℃くらいとして)が10mm程度の断熱材を巻けばよいことがわかる。
 対流熱伝達率内側を知るには、熱伝達率計算ボタンをクリックし、熱伝達率の式欄に、資料-強制対流熱伝達率の109をいれ選択し、資料-空気・水の熱的特性から空気80℃の物性値を記入し、計算実行する。



熱伝達計算の式 

  計算には他にもいろいろ実験式がありますが、ここでは下の式を用いました。

1、円筒の放熱 外部方向への放熱 (単位長さ当たり)(円筒内に温度の傾斜がない場合)
   
  Q=Qh+Qt=Qλ    Qh:放射放熱量          Qh=(Tg^4-Ts^4)*A*B*σ
                                   Tg:外側表面温度 
                                   Ts:外気温度
                                   A:放熱面積
                                   B:放射率
                                   σ:ステファン-ボルツマン定数

               Qt:対流放熱量          Qt=(Tg-Ts)*A*C
                                   A:放熱面積
                                   C:対流熱伝達率
                                   

               Qλ:配管材内の外部への熱伝導量
                                   Qλ=2*3.14*λ*(Tg-Ts)/(Ln(D+2*t)/D)
                                    λ:熱伝導率
                                    D:円筒内径
                                    t:厚さ

2、円筒の放熱 流れ方向の温度変化

   T=Ts+(T0-Ts)*exp(-k*x/(c*ρ*v))        T:入口からxm流れた点の流体の温度
                                   Tg:外側表面温度
                                   Ts:外気温度
                                   k:熱伝達率
                                   c:比熱
                                   ρ:密度
                                   v:流量
                                   x:入口からxm流れた点位置

  
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