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  3、平板からの放熱量

3-1、
外気温20℃のとき、70℃に保持された表面積2m^2の金型表面からの放熱量はいくらか

放熱計算の平板放熱をクリックする。外気温度20℃、構造材欄に放熱面積2m^2、内側の温度70℃、鋼材の熱伝導率53w/m℃、厚さ0.1、保温材厚さ0を入れ実行をクリックする。放熱量計1067Wを得る。風が当たっている場合にはその強さに影響されるので、対流熱伝達率欄に見合った数値を入れてください。
3-2、

縦横50cm、厚さ5mm、200℃の鋼板を20℃の外気中に10分間放置したとき、何度まで冷えるか。熱伝導率53W/m℃、比重7.83g/cm3、比熱0.118kcal/kg℃とする。

放熱計算の平板放熱→定温放熱をクリックする。外気温度20℃、構造材欄に放熱面積0.25m^2、内側の温度200℃、鋼材の熱伝導率53w/m℃、厚さ5mm、さらに、比重7.83g/cm3、比熱0.118kcal/kg℃、保温材厚さ0、時間0.167hを記入し、実行をクリックする。 結果→片面からの放熱の場合133.6℃、「片面からのみの放熱」ラベルをクリックして両面からの放熱に変えクリックすると94.9℃が得られる。ただし、風がある場合には対流熱伝達率が大きくなり、より冷却されます。
 注意、ここでは、熱量は構造材内側部分にあり外側へ向かって流れるものとしています。一方、構造材の冷却は全体の平均温度としています。そのため、h時間後の温度と構造材外側温度がほぼ等しい場合のみ正しい計算結果となります。保温材外側温度欄には外気と接する表面の温度を表示しています。ボタン表示が自然放熱の場合は、構造材内側温度が初期設定温度であり、構造材外側温度、保温材内側温度、保温材外側温度はh時間後の温度を構造材内側温度としたときのそれぞれの位置の温度です。

3-3、
厚さ4mmのチップに5mmのアルミ放熱板を乗せた。チップとアルミの接触面40℃、外気温20℃のとき、チップの中心部温度(温度の高いところ)は何度か、また、このときのチップの熱発生率W/m3はいくらか。

アルミ放熱板側からほとんどの熱が逃げるものとします。放熱計算の平板放熱をクリックする。外気温度20℃、構造材欄に放熱面積1m^2、内側の温度40℃、アルミの熱伝導率203w/m℃、厚さ5mm、保温材厚さ0を入れ実行をクリックする。 放熱量203Wが出ます。1mに換算すると、40600W/m3となります。チップのTmaxは熱伝導率0.2w/m℃としてTmax=40+40600*0.004^2/(2*0.2)=41.6℃となります。

 チップの性能UPのため、発熱が3倍になった場合、放熱板形状を工夫して放熱面積を5倍にしたとして、
@対流熱伝達率を7から35w/m2℃に変えると762Wになりますが、203W*3=609Wになるよう内側温度(アルミ接触部温度)を下げると35℃になります。35℃、熱発生率40600W/m3*3=121800W/m3を下の3式に入れるとTmax=39.9℃が得られます。
A放熱面積を5倍にすると放熱量1015Wとなります。609Wになるよう内側温度を下げると32℃になります。この場合はTmax=36.9℃が得られます。放熱板形状によりどちらが適切な計算かはわかりません。
この推定は放射熱の扱いが違いますのでかなりの誤差が入ります。それでも当たらずとも遠からず、放熱板形状の工夫で合わせることが可能と考えます。




熱伝達計算の式 

  計算には他にもいろいろ実験式がありますが、ここでは下の式を用いました。

1、平板放熱 
   
  Q=Qh+Qt=Qλ    Qh:放射放熱量        Qh=(Tg^4-Ts^4)*A*B*σ
                                 Tg:外側表面温度 
                                 Ts:外気温度
                                 A:放熱面積
                                 B:放射率
                                 σ:ステファン-ボルツマン定数

               Qt:対流放熱量        Qt=(Tg-Ts)*A*C
                                 A:放熱面積
                                 C:対流熱伝達率
2、鋼板の熱容量

  q=a*b*c*d*cp                      q:熱容量
                                 a:たて
                                 b:よこ
                                 c:厚さ
                                 d:比重
                                 cp:比熱
3、発熱体内の温度

  Tmax=Ta+q*t^2/(2*λ)              Tmax:すべてアルミ側へ熱が逃げたとして、反対側端
                                 Ta:アルミ側端の温度
                                 q:熱発生率
                                 t:チップの厚さ
                                 λ:チップの熱伝導率


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