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2、平板を通過する熱量
2-1、
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箱内は60℃、外気温度20℃の場合、1mmの鋼板に熱伝導率0.06W/m℃の保温材30mmを被覆した仕切り板を通過する熱量はいくらですか。 |
2-2、
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ダクト径200mmの管内に750℃の熱風が常時流れている時、ダクトに直交して差し込まれたSUS316Φ20のバルブシャフトの温度は何度になるか?ダクト表面から200mmの厚さで保温材が巻いてあり、保温材の外100mm、常温外気中にある点のシャフトのおおよその温度を知りたい。 ここでは簡単に答えることを考えて見ます。まず、シャフトが保温材内にあり、ダクト内や外気中に突き出ていない場合を考えます。高温側熱伝達率h1=29W/m2℃、低温側h2=7W/m2℃として、突き出した部分の吸熱・放熱を加味して、仮想熱伝達率を計算します。ソフトを起動し、熱伝達率計算-熱伝達率の式に201を入れ選択をクリック、対流熱伝達率、棒材の熱伝導率16.3W/m℃、周長、断面積、突き出し長さを入れ計算実行ボタンをクリックします。高温側突き出し長さ200mm、h1=308W/m2℃、低温側突き出し長さ100mm、h2=113W/m2℃を得ます。これを熱通過の画面で、対流熱伝達率の内側の欄に308W/m2℃、外側の欄に113W/m2℃、高温内気750℃、放熱面積0.000314m2、熱伝導率16.3w/m℃、厚さ200mmを入れ計算実行すると低温側281℃となります。一端が一定温度に維持された棒材が外気中に置かれたときの放熱による温度勾配の式2-2、に(熱伝達率の式に202を入れ選択をクリック)、根元温度281℃、外気温度30℃、長さ0.1m、低温側熱伝達率h2=7W/m2℃、その他のデータを入れると47℃を得ます。熱伝導率を固定して考えていること、その他仮定が大胆なので数値を過信できません。実験で煮詰めていく必要があります。熱伝達率h1、h2については、資料の強制対流熱伝達率、自然対流熱伝達率のファイルの中から適当な式を選んで計算してみてください。空気の動きにより数値が大きく変わります。 |
熱伝達計算の式
計算には他にもいろいろ実験式がありますが、ここでは下の式を用いました。
1、平板の熱通過 Q=Qh+Qt=Qλ Qh:放射放熱量 Qh=(Tg^4-Ts^4)*A*B*σ Tg:外側表面温度 Ts:外気温度 A:放熱面積 B:放射率 σ:ステファン-ボルツマン定数 Qt:対流放熱量 Qt=(Tg-Ts)*A*C A:放熱面積 C:対流熱伝達率 Qλ:棒材の熱伝導量 Qλ=λ*S(T1-T2) S:棒材の伝熱する断面積 T1:高温部温度 T2:低温部温度 |
2、一端が一定温度に維持された棒材が外気中に置かれたときの放熱による温度勾配 2-1、T=Te+(TL-Te)*{cosh(m*(L-x))+(h/(m*k))*sinh(m*(L-x))}/{cosh(m*L)+(h/m*k)*sinh(m*L)} T:x点の温度 Te:外気温度 TL:一定温度に維持された温度 ここでは保温材表面位置の棒材温度 x:一定温度の点からの距離 m=(4*h/(λ*D))^(1/2) m:係数 h:外気と接する面部分の熱伝達率 λ:棒材の熱伝導率 D:棒材の直径 仮想熱伝達率 2-2、H=m*k*{sinh(m*L)+(h/m*k)*cosh(m*L)}/{cosh(m*L)+(h/m*k)*sinh(m*L)} hH:高温側仮想熱伝達率 上の式に高温側熱伝達率を入れた数値 hL:低温側仮想熱伝達率 上の式に低温側熱伝達率を入れた数値 仮想熱伝達率は棒材が外気へ突き出ていた場合の熱伝達量に相当する熱伝達率の数値を保温材表面位置の棒材端面に与えた数値です。具体的には、Q=λ*S*dT/dXとQ=hL*S*(TL-Te)をx=0点で単純に比較ものです。 |